第2章 愛しい人 (↑晃牙side)
ーーゴロゴロ…
夢の世界から一気に引き剥がされて、
今の状況がどれ位危険かってのを思い出した。
そうだ… コイツ起こさねーと!
「あんず!!!あんず!!」
リッチ〜が勧めただけ場所なだけあって、
全く起きる気配ねーな!!!
「あんず!あんず!!!起きろ!!!」
すると、長いまつ毛がふわりと動いてんのが見えた。
やっと起きたのかよ…!
「おい!あんず!!何やってんだ!!
探したんだぞ!!!ほら急いで帰っぞ!!」
あんずはまだ寝ぼけてて今の状況わかってねーな…
「なんでそんなにのんびりしてんだよぉ!?
言っておくけどな、
もうすぐ大雨が降るって予報だかんな!?」
あんずはビックリしてるから
目覚めたみーてだな…
「教室にまだ荷物があるの…」
「はぁ?何言ってんだ?ここにあんぞ?」
いいから早くしろ!
「とりあえず、雨が降る前にあんずん家送ってやるからよぉ…
走んぞ!」
あんずの手をとって
学院の正門を目指して走った。
あんずの体温が少し伝わるだけで、
さっきのキスを思い出しちまうな…
あんずは流石に気づいてないよな…?
そう思って振り返ったんだけどよぉ…
「ボケッとしてねーで、走れよ!」
どう考えてもあんず家まで、
まだまだだろーが!
ポツーー
ポツポツポツ…
ザザザザザザァァーーー
クソッ本当に大雨じゃねーか…
痛いくらいの大粒だな…
「チッ… もう降ってきやがった…
おい大丈夫か?急ぐぞ」
あんずを心配した矢先、
あんずが派手に転んだのが分かった。
手を握ってたからな…
「あんず!!大丈夫…じゃ…ねぇな…」
俺様は咄嗟に自分のブレザーを脱いで
あんずにかけて、
あんずの前で背を向けてしゃがだ。
暗いから、わかってくれっかどうか…
「おら!!あんず!!早く乗れ!!」
あんずはすぐに乗ってくれた。
そのままあんずをおぶって走る。
もちろん、
あんずのカバンは濡れないように持っちながらだけどな。
シャツ越しに伝わるあんずの温もりは、
俺様の心をものすごく乱してくる…
クソッ… あんずを家に送る事だけ考えろ…
あんずに風邪ひかれたら困るかんな…
なんであんずが風邪をひいたら困るんだ…?
そうか… こんな焦ってんのも…
〝好き〟だからか…