第2章 愛しい人 (↑晃牙side)
tricksterを頂点に立たせた第一人者なだけあって、
あんずはテキパキとしていたな。
ただこの場の雰囲気に慣れていねーのか、
緊張しやがってよ。
指示してくれる事は正しいのによぅ、
自信がねーんだ。
だからアドニスも気を利かせて
別に大したわからない事でもねーのに、
「あんず、これはどうするんだ?
そうか、こうすればいいのか。
ありがとう。
あんずはわかりやすく教えてくれるんだな。」
って言ってあげてたってのに、
あんずは最後まで自信がねーように見えたな。
プロデュースが終わって片付けをしてたら、
「外も暗くなってしまったのう…
我輩、嬢ちゃんの家まで…」
なんて吸血鬼ヤロ〜が言いかけたもんだから、
たまらず俺様は、
「ほら、あんず。帰んぞ。」
… 気がついたらそう言っててよ…
吸血鬼ヤロ〜とあんずを帰らせるくらいなら、
俺様の方がマシだろ…
俺様の方が…
コイツの事たくさん考えてんだよ…