第1章 優しい人 (あんずside)
「おい、明星いるかー」
グレーの髪に黒いネクタイーーー
あれは…!?
忘れもしない、初日の龍王戦で押し倒された、
エレキギターは… かっこよかったな…
隣のクラスの、2-Bの……
「ガミさん!わざわざ来てくれたの〜!」
怖そうな見た目の〝大神晃牙〟ーー
ちゃんとネクタイしようよ… なくしたの…?
私は正直 怖い って思っている。
最初の出会いといい、第一印象といい、そう思ってしまうのは、しょうがないと思う。
「ふんっ、大吉の為だからな!
別にお前の為じゃねーよ。」
そう言いながら真っ直ぐこちらへ向かってくる。
もちろん、スバルくんがいるからーー
何が言われるのではないか。
少しビクビクしながら彼を、大神くんを、じっと見ていた。
それに気がついたのか、北斗くんがハッとして、
「明星、頼むからお前が廊下に出てくれ。
ここじゃなくてもーーー」
そう、言い終わらないうちに、大神くんは私の席にいてーー
「おい、テメ〜、大丈夫か?
目の下にすっげークマできてんぞ。
もう少し、自分の身体大事にしろよ。」
どうなっているのか、全く分からなかった。
どうやら、声を掛けてきたのは、大神くんだった。
とりあえず、うん と返事をする代わりに頷いて返してみた。
「そーしろよ…」
ボソッと聞こえた気がした。
え?私と大神くんで会話が成立しているの…?
ぐるぐると考えているうちに、