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1匹狼な君と

第1章 優しい人 (あんずside)



辺りは暗すぎて、ハッキリと空は分からない。
しかし、今にも雨が降りそうなこのニオイ
そして、ゴロゴロ…と音が鳴り止まない。

私は初めてここで危機感を感じた。
辺りが暗すぎてよく見えない程だった。

正門をでる直前に、
晃牙くんに手を引かれて走りながら、
後ろの校舎についてある大きな時計を見ると、
22時を過ぎていたーーーー

泊まり込み以外でこんな時間まで居たのは初めてだ。
とりあえず、今は急いで家に帰る事に集中した。


でも、走りながら、ふと思ってしまう。
私の手を引いている〝彼〟は、
何故こんな遅くまで学院にいたのか。
そして何故私がまだ学院内にいると分かったのかーーーー


「ボケっとしてねーで、走れよ!」

晃牙くんが私に言った。
確かにボケっとしていた。
でも、気になる事が多すぎて…


その時ーー

顔に水がついた感触がした。
もしや… と思っていたら、

ポツポツポツ…
なんだ… 大雨じゃないんだ…

と安心したのもつかの間
一瞬にして、

ザーザーザーという、音になった。

一寸先は闇だが、
かなり雨が降っているのがわかる。

雨を直に浴びて、初めて「痛い」と感じた。
それくらい大粒の強い雨だ。
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