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1匹狼な君と

第1章 優しい人 (あんずside)


「なぁ、少し気になったんだけどよぅ…」


「どうしたの…? 大神くん…?」


さっきまで笑顔で話していたのに、
違う表情になっていてーーー

大神くんは、私の目をじっと見ていて、
目をそらすな と暗示をかけられているようで、
私も大神くんの目をじっと見つめている。


「今から言うやつの名前を普段の呼び名で呼べよ。」


なんだ、そんな事か… 緊張しちゃったよ…




「明星」

「スバルくん…」


「アドニス」

「アドニスくん…」


「デコ助」

「真緒くん…」


「クソオカマ」

「お姉ちゃん… たまに嵐お姉ちゃん…」


「大神晃牙…」

「大神くん… って…えっ…?」


彼の名前を言ったその時、少し悲しそうな表情をみせた。
私は… 何となく分かった気がする…


「その… なんて言うんだ…
俺様はテメーにとってはあまり親しくないヤツか?」

そんなつもりは全くない
ただ…第一印象のせいで怖いと思ってて…

「違う… 違うの… 」

彼に対する申し訳なさがこみ上げてきて、
さっきまでの声量とは嘘のように、
小さい声になってしまった。


「テメー… あんずにとって、俺様は…
まだ怖いヤツか…?」


そう言いながら、
私の瞳を優しくのぞき込むように、
大きな手が私の頬に触れた。
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