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1匹狼な君と

第1章 優しい人 (あんずside)


私の手首を離さないまま、
大神くんは中庭の人気の無い大きな木の下に着いた。

陽の光は強いが、
大きな木の影でそれは凌げそうだ。


「ココなら、昨日よりマシだろ…?」


そう言って大神くんは幹に寄りかかって座った。
私もその隣にちょこん、と座った。


外でこんな風に食べるなんて…
いつぶりだろうか。
ピクニックみたいで少しウキウキする。

私は昨日と同様、お弁当を広げた。
すると、大神くんも自分のであろうお弁当を広げていた。


「大神くん、今日はお弁当なの?」


周りが静かなお陰で、
私の声はいつもよりほんの少しだけ、
大きく聞こえる。


「ああ… 今日は何となくだな…
早起き出来たから、自分で作ったんだよ…」


「自分で?凄いね!私はお母さんが作っているのに。」


「1人暮らしだからよぅ…」


大神くんって1人暮らしだったの!?
初めて知った。


「寂しくないの…?」


男の子だからそういう感情はないのかな?
親元を離れて、1人暮らしか…
今の私には到底出来ないだろう…。

すると、大神くんは ニッ! って笑って、


「俺様はレオンと一緒に住んでるからよぅ。
いつも俺様が帰ると、しっぽを振って駆け寄ってくれるからな!」

こんな至近距離で、
満面の笑みを直視してしまった私はーーー

初めて〝ドキッ〟 っとした。
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