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1匹狼な君と

第1章 優しい人 (あんずside)


私は自分のお弁当を持って、隣の教室へ向かった。
今、教室に居るのかな…
ガーデンテラスとかで食事をとってるかも…

なんて考えつつ、教室を覗いて〝彼〟を探した。


ーーーいた

ガヤガヤとしている教室の中で、
窓側の席で1番後ろに座っている。
陽の光を浴びながらスヤスヤと寝ている。

近づいてみると、机の上にはスマホとそれに繋がっているイヤホン。
あと、楽譜と乱雑に置かれている色んな科目の教科書。

何をしているのか、授業を受けているのかも分からない姿に、少し可笑しく思いながらも、

彼の前の席が空いていたのでそこに座って、
呼びかけてみた。



「大神くん… 大神くん… 起きて…」


少し頑張って声を出してみたが、
教室は相変わらずガヤガヤしていて、
彼には聞こえていないだろう。

「起きて… ねぇ…」

そう言いながら、私は前に誰かがしてくれたように、
寝ている彼に頭をポンポンってしてみた。
髪綺麗だな…


すると、彼は起きたらしく、


「…んだよ、誰だよ…」


って寝ぼけていたから、「私だよ」
って声をかけたら。


「……なっ、あんずっ…!
びっくりするだろうが…
なんだよ、なんか用かよ。
UNDEADの事ならお前と同じクラスのアドニスに…」


違う!
そうじゃないのだ。
個人的に一緒にお弁当が食べたいだけなのだ。
最大限の否定を表すべく、ブンブンと首を振った。


「おぅ… そうかよ…」


少し大神くんは驚いていたが、私は続けて


「大神くん
一緒にお昼ご飯食べない?」


教室はこんなにもうるさかったか、
小さすぎて多分、大神くんは聞こえてない気が…
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