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夢100 今宵夢で逢いましょう

第1章 眠れるリング


翌日、朝食が終わると、リドは準備があると早々に部屋に戻って行った。

みづきも、自分と話をする事を拒んでいるリドを問い詰めるでもなく、
自分の部屋に戻る。

昨日、中庭で見上げた空には、ムーンロードが開かれる事を告げる月が輝いていた。
どこに繋がるのか…ナビが居てくれたらわかるのに。

今頃、アヴィやナビはどの辺りにいるだろう。
そんな事を考えていた。
そして、いつまでもオリブレイトにいるわけにはいかない…という事を
まだリドには言えていない。

(秘密があるのは…お互い様だね…)


『みづき?いる?』

「サイ?」

みづきの部屋がノックされ、サイの声が聞こえる。
扉を開ければ、笑顔のサイが立って居た。

『迎えに来ましたよ?お姫様』
戯けていうサイの笑顔に、少しだけ心が癒される。

「早いね。ティーガ君は?」

『今日は、僕たちがティーガを迎えに行かない?』
いつもは大人しいサイが、いたずらっ子のような顔でみづきに言う。

「うん!」
(きっと、心配してくれてるんだ…)

サイの優しさを無駄にしない様に、勤めて明るく返事をした。
そして二人は城を出発する。リドには何も告げないまま。


ガルティナの城に着くと、城門にはティーガの執事が馬の手入れをしている。

「おはようございます」
みづきが笑顔で挨拶すると、執事は驚いたようだったが、

『これはみづき様、サイ様、おはようございます。
今日はどうされたのですか?』

と、柔らかい声が響く。

『今日は、ティーガを迎えにきたんだよ。驚くかな?』
サイが、少し照れながら話す。

『驚かれるよりは、きっと喜ばれますよ。
おや?リド様は…』

いつもいるはずのリドが居ない事尋ねようとした時に、
聞き慣れた元気な声が響く。

『いやー!今日もいい天気だなー!
遊び日和だな!…ってお前らっ!』

庭側から登場したティーガは、二人の顔を見て目を丸くする。

『どうしたんだよ!珍しいじゃねーか!』
満面の笑みだったのもつかの間、

『ってゆーか、サイ!お前ズルいぞ。
せっかくリドがいねーのに、何みづきを独り占めしてんだよ』

みづきとサイ、そして執事は顔を見合わせて、
盛大に大笑いをする。

晴れ渡った空には朝から三人の笑い声だけが響いていた。
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