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夢100 今宵夢で逢いましょう

第1章 眠れるリング


『おお、リド戻ったか。明日の準備はできているのか?』

城に戻ったリドに、国王が声をかける。

「準備なんて別に何もないだろ、ただ出かけるだけなんだから」

『もう、そんなこと言って!新しい礼服用意させたから、それきて行きなさい?』

王妃も世話を焼く。

「そんな大々的にしたら…みづきにバレる…」

『お前、みづきに言ってないのか?』

兄のカランが心配そうに声をかけた。

「言えるわけないだろ…国同士のお見合いだなんんて…」

『形だけなんだ。ちゃんと言ってあげた方が、不安にならないんじゃないか?』

『形だけだなんて!いいのよ?気に入ったら縁談すすめても。
向こうはなぜか、リド、あなたを是非って言ってくださってるんだから…』

『お母様、リドには心に決めた姫が…』

カランが王妃をたしなめるが、

『リドを目覚めさせてくれた事には感謝はするけれど、
姫という感じではない…あんな庶民のような娘…。
もっとちゃんとしたところの姫をあなたは…』

トロイメアの姫であることは、まだ伝えていなかった。
全ての事を終えるまでは、まだ秘密にしていたい。
そうみづきが願ったことだ。

しかし、そのせいで明日リドは近隣国の姫とお見合いをしなければならない。
その事実を、どんな事をしてもみづきにだけは黙っておきたかった。

(こんな下らないことで、みづきを不安にさせたくない)

「とにかく。俺はみづき以外のやつと縁談なんて考えられない。
兄さんはわかっててくれるよな?」

『あぁ。だが、秘密というのは無理があるんじゃ…』

「明日、ティーガとサイがみづきを連れ出してくれるから大丈夫だ」

『あの二人には言ったのか?理由を。』

「いや…ティーガにバレたら町中に広がるし…」

カランはリドの計画がうまく行くようには到底思えない。

『リド…今からでもちゃんとみづきに言っておいた方が…』

カランの言葉を国王が遮る。

『まぁ、そんなに大ごとにとらえるな。こんな事、これからいくらでもある』

その一言で、これ以上その話がされる事はなかった。
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