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夢100 今宵夢で逢いましょう

第1章 眠れるリング


「今お茶淹れますから座ってて下さい」


そう言うみづきの手首をリドが掴む。


「えっ!?」


突然のことに驚いて、みづきは握っていたネックレスを落としてしまった。



「みづき…ごめん…」


(なんで…呼び捨てで…)


固まっているみづきを余所に、リドは落ちたネックレスを拾い上げた。
そして、みづきには渡さずにまじまじと手のひらに乗せて眺める。


「あの、ありがとうございます…それ…」


「どうして外してたんだよ…」


「え?」


リドの表情は複雑で、みづきにはリドの思うことがわからなかった。


「そのネックレス…見てるだけで温かい気持ちになれて…
元気がもらえて…でも、何かとても大切な事が思い出せなくて…
思い出そうとすると、心が苦しくて、どうしていいかわからなくなるんです」



みづきのその言葉に、リドも胸が押しつぶされそうになる。



「そっか…」


リドはそう言うと、悲しそうな笑みを向けた。


(なんで…そんな顔するの…)



「つけてあげるよ」



そう言うと、優しい手つきでみづきの首にネックレスを回す。
まるで抱きしめるような体勢に、みづきはリドの匂いを感じる。

その瞬間、みづきの脳裏に何かがフラッシュバックした。


ーーー部屋のドアの前で、同じように抱きしめられるようにつけられるネックレスーー


「あの…」



リドがネックレスをつけ終わると、顔を真っ赤にしたみづきがうつむいていた。



「うん。やっぱり似合ってる」



その言葉に再びフラッシュバックする。


間近でネックレスをプレゼントしたその人は、似合ってると言ってはにかんでいた。


ふと、俯いていたみづきにリドの手首が映った。
自分とお揃いのブレスレットが見える。



「リド…」


その瞬間、みづきは止めどない涙を抑えることができなかった。





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