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夢100 今宵夢で逢いましょう

第1章 眠れるリング


いつもみづきと一緒にいた。
食事をする時も、昼寝をする時も、サイやティーガと遊ぶときも。

みづきがいつも隣で優しく笑っていてくれた。
いつだって、自分に全幅の信頼を置いてくれていた。

そして、自分を愛してると、言ってくれた。

手を繋いで、抱きしめあって、キスをして…
ずっと一緒に居ようって話していた。

そんな永遠に続く幸せを手に入れるため、
みづきが旅立とうとしていたのだと思うと、
心臓が握りつぶされそうに痛んだ。

それなのに、自分は、みづきを悲しませた。
ちゃんと言えばなんて事はなかったのに…。
こんな取り返しのない事になてしまった…いや…

「まだ…取り返せるのか…」

暫く考えたリドは、ナビを見つめる。
ナビは、いつもの朗らかな笑顔で、

『もちろんですよ、リド王子!』

と、答えた。





みづき…君の名前だよ、みづき。



お兄ちゃん…どこにいるの?



お兄ちゃんはみづきの側にいつもいるよ。



私の…名前…



そう、お前の名前だよ、みづき。


素敵な名前だろ?



お兄ちゃん…一緒にいてくれるの?



いつも一緒だ。


だからみづき、安心していいんだよ。



わかった。わかったよ、お兄ちゃん…







みづきは再び目を開ける。

『みづき様、お目覚めですか?』

ナビが、笑顔でみづきの顔を覗き込む。

「お兄…ちゃん」

真っ直ぐにナビを見つめると、みづきは手を伸ばした。

『姫…みづき姫…』

驚いたナビは、伸びて来た手を咄嗟に握りしめた。

「お兄ちゃん、ずっと側にいてくれたの?」

『思い…出したのですか?姫…』

みづきはそっと首を振る。

「私の名前と、お兄ちゃんの声だけ…」

そう言うと、悲しそうに笑った。

『姫。大丈夫です。ゆっくり思い出していきましょう。
私は、ずっとここに居ますから』

ナビはそう言いながら、小さなフワフワした手で、
そっとみづきの頭を撫でた。
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