第1章 眠れるリング
みづきが事故にあって四日目の朝、
リドがいつものようにベッドのそばで手を握っていると、
ドアがノックも無く勢いをつけて開いた。
ーーみづき様ーー
ーーみづき!!ーー
そこには、いつもみづきが一緒に旅をしているアヴィとナビの姿。
『おい!どうなってるんだ!』
「姫様は…姫様!」
突然のことに、何も言えずただ驚いているリドの胸ぐらに
アヴィは勢いよく掴みかかった。
『お前!これはどういうことなんだ!』
ナビは、アヴィを止めるでも無く、ちょこんとベッドに飛び乗ると、
ふわふわの手でみづきの頬を撫でる。
「みづき…様…」
その胸元の指輪を小さな両手で握ると、
ほのかに光を感じた。
『ちょっと、やめなよ!』
大きな声をあげて、サイが部屋に入ってくる。
その声にアヴィは渋々手を離した。
『どうして二人がここに?』
何も言えず立っているリドを守るように前に立つと、
サイがアヴィを見つめる。
「夢の力が、急に弱まったように感じました。
もしかして、姫様になにかあったのではないかと…」
ナビが弱々しい声を出す。
『それに、約束の日になっても帰ってこないから、心配してたんだ』
それを聞くと、リドは漸く声を出す。
「約束の日…って?」
『なんだ、お前。みづきに聞いてないのかよ』
アヴィが怪訝な顔つきで問う。
「姫様は、次のムーンロードが繋がる日までと言う約束で、
リド王子に逢いにきていたのですよ」
ナビが今度はしっかりした声で言う。
『リド…、聞いてなかったの?』
サイが心配そうにリドを見ると、
「何も…」
と、寝ているみづきに目を落とした。
『とにかく。四日前の夜がその約束の日だったんだ。
全く帰ってこないし、ナビはみづきに何かあった気がするって言う出すしで…
何があったのか説明してくれ』
アヴィは、ベッドに寝かされているみづきと、リドの顔を交互に見ながら迫った。
一通りの説明を受けると、アヴィは怒りを堪えているように拳をギュッと握りしめた。
『四日前って…事故にあった日の夜だったんだね。
だから、用事があるって言ったんだ…
多分、みづきは僕たちに言わずに行くんだったんだね』
サイは、あの夜の食事会に誘った時のみづきを思い出す。