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夢100 今宵夢で逢いましょう

第1章 眠れるリング


サフィニアの城に着くと、サイは従者に的確に指示を出した。
国王は国一番の医者の手配をし、王妃は血で汚れてしまっているみづきに、
着替えを用意させる。

『ティーガは、とりあえず会議に出た方がいいんじゃない?
こっちは任せて。終わったら来てくれるでしょ?』

サイがティーガを気遣う。
執事も申し訳なさそうに、

『ティーガ様、今日の会議だけは外せません。
ですが、終わりましたら、私がすぐに馬車を走らせますから…』

と、ティーガを促した。

「わかってる…。サイ、本当に頼んだよ。
みづきになんかあったら、俺…。
直ぐに戻ってくる。馬車はいい。馬に乗った方が早い」

そう言うと、何度もサイに念を押してその場を立ち去った。

サイも、直ぐにみづきを寝かせている部屋へと急ぐ。

(みづきに何かあったら…僕だって…)

部屋に着くと、既に医者がみづきを診ていた。

『どうなの…』

サイは恐る恐る、みづきの容態を訊いた。

「外傷は命に関わるものはありません。
出血も、傷自体はそこまで深くないので、直ぐに治るでしょう。
ただ…」

『ただ?』

「頭を打っているようですので、暫く目覚めないかもしれません。
目覚めても、記憶が定まらない場合があるかもしれません」

医者は、兎に角安静に寝かせて、目覚めるのを待つしかないと言う。

『そんな…』

サイはそれ以上言葉を失う。
どうしてみづきを一人にしてしまったのかと、後悔だけが残った。

『サイ、オリブレイトの王子には伝えているのか?』

国王が気遣わしげに尋ねる。

『まだ、リドには伝えてない』
苦しそうにサイが答える。

「では、使いを出しましょうか」
王妃が従者を呼び、指示を出す。

「サイ?リド王子と何かあったの?」

母親の顔で王妃が心配するが、サイは黙ったまま、
ただひたすらに、まるでただ眠っているように見えるみづきの髪を撫で続けた。



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