• テキストサイズ

夢100 今宵夢で逢いましょう

第1章 眠れるリング


ガシャーーーン


〈きゃーーー!〉

〈ちょっと!轢かれたわよ?!大丈夫!?〉


空を見上げてゆっくり歩いていたみづきに、
暴走した街馬車が突っ込んだ。
それは一瞬の出来事だった。





〈おい!危ない!避けろ!!おい!聞こえてるのか!〉

きゃぁぁぁ!


『ん?なんだ?事故か?』
ティーガが大きな音と人々の叫び声に、馬車に乗り込もうとしていた足を止める。

『街の方だね、ちょっと戻ってみようか』
サイも、頷いて踵を返す。


みづきと別れて帰城する途中だった二人にも、
まだそんなに離れていなかったこともあり、
その音と声はしっかり届いていた。

そして、戻った先に見えたものは、
暴れた馬を一生懸命なだめている男たちと、
その先に馬に飛ばされたのか、血を流して倒れている女。


『みづき!!!!』

サイが大声で叫び駆け寄る。
それは紛れも無い。さっきまで一緒にいたみづきの
変わり果てた姿だった。

『おい!しっかりしろ!みづき!』

ティーガの呼びかけにも全く反応がない。

『ここからなら、サフィニアの城も近い。
馬車でお前のとこまで運んでいいか』

ティーガを迎えに来た執事の馬車で、
サイの城にみづきを運ぶ事を決めた。

ティーガは馬車に駆け足で戻り、執事に事情を説明する。
街の女たちは、馬に轢かれたのが、
いつもリドといる姫だと知ると、慌てて毛布を持って来てくれたり、
水桶を持って来たりと、協力してくれた。

近くの町医者は、城に着くまで同行を申し出てくれた。

『意識を失ってますが、脈はありますから、
着いてすぐ治療が出来るように準備の指示をして下さい、サイ様』

馬を暴走させた馬車の主人は、青ざめその場で腰を抜かしている。
警察が到着すると、みづきをサフィニアの城に運ぶ事を告げ、
ティーガの馬車は出発した。

みづきを運ぶ馬車の中で、町医者は手早く血を拭い、
大体の怪我の状態を見ている。

ティーガは
『無理やり一緒に帰ればよかった!』
と拳を握り、

サイはずっと、みづきの名前を呼びつづけた。

/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp