第5章 ロッカールーム
ガンッ
「くそっ…!なんでだよ…!なんで…よりにもよって高尾なんだよ…!!」
俺は力いっぱいロッカーを殴った
まさか自分の後輩に彼女をとられるなんて考えてなかった
高尾が前から愛生のこと気にしてるのは知ってたけど
…愛生も高尾を好きになるなんてな
「くっ…!」
やべ、涙とまんねぇ…!
こんな状態で誰か来たら…!
「止まれよっ…とまれっ…!!」
愛生を取られた悔しさと
もう愛生が隣にいないという現実を目の当たりにして
その苦しさが一緒に涙となって溢れ出てくる
ガチャッ
「!!」
急いで手の甲で涙を拭いて着替えだす
涙を誤魔化すように
「宮地せーんぱいっ♡」
幸せに満ちた笑顔をした高尾が入ってきた
「っせーな…」
「うっわー(笑)不機嫌!」
「轢くぞ」
お得意の物騒な言葉を高尾に吐き捨てた
「…俺、愛生先輩を一目見たときからずっと好きだったんすよ」