第6章 ★世界で一番好きな人/笹谷武仁
せっかくの雰囲気が台無しだ。
俺の気がそがれたことに気が付いたのか、さんが不安そうな顔でこちらを見つめている。
「…ごめん、さん」
「ううん。どうしたの?」
「…いや、なんでもない」
考えたって仕方が無い。
いくら否定したくとも、さんと兄貴の間にあったことは事実で、消せやしないのだ。
二人の行為を見てしまったことも、同じように俺の頭の中から消し去ることは出来ない。
悲しいのか、腹が立ったのか。
自分でもよく分からない、ぐちゃぐちゃの感情のまま、さんの体に手を伸ばす。
まだ湿り気を帯びていたさんの局部に触れ、何度かまた指先で触れて離れてを繰り返した。
少し冷めてしまったさんの体の熱も、その愛撫に熱を取り戻して行った。
指先に触れるさんのとろりとした愛液と、彼女のうっとりとした表情につられるように、俺のモノも硬く熱くなってくる。
すぐにでも繋がりたい―そう思ったものの、さんに今までに味わったことないような気持ちよさを感じて欲しくて、脈打つ自身の肉棒をさんにあてがいたい衝動をなんとか抑え込む。
「武仁……?」
いつもならもう一つになっているところなのに、一向に自分の中に入ってこようとしない俺を不思議そうな顔でさんは見ていた。
彼女の羞恥心を煽れば、さらに快楽の渦に飲み込まれていくだろうことは想像に難くなかった。
だから、俺はわざとさんの両足首を掴んで、思いっきり股を大きく開いてやった。
「やぁっ…!」
ぱっくりとその姿を見せたさんの可愛らしいバラ色の肉襞に、ゆっくりと顔を近づける。
ちらりと見やったさんは驚いた顔をしながらも、その頬をさらに紅潮させていた。
「ちょっと待って、そこは―…!」
舌先で、つんと花芽をつつくと、さんは言いかけた言葉を飲み込んで、代わりに嬌声を響かせた。
「ひあっっ、あぁっ…!」
よほど気持ちよかったのだろう、抑えた足先までもぶるぶると震えて、全身で快感を示していた。
尖った先っぽを、ちろちろと蛇の舌先のように軽く舐めてやるだけで、もうイってしまいそうに見えた。
「はぁっ、あぁん、あぁぁっ!!」