第3章 Let me share the love with u.
「でもなぁ、お前達今日の為にめちゃくちゃ頑張ってただろ?その成果見てほしくてさ」
「…気持ちはありがたいっすけど、何もライバル校に見てもらわなくても…」
口をとがらせた二口だったが、烏野メンバーから称賛の声をかけられるとまんざらでもなさそうな顔をしたのだった。
「すっげぇ!カッケ―な!!」
「…お、おう。サンキュー」
目を輝かせて素直に称賛を送ってくる西谷に、二口も素直に礼を言うしかなかった。
「にしてもよくやるなぁ……」
目をしばたたかせながら澤村が言うと、横の菅原と東峰も頷きながら感嘆の声をあげる。
無言で佇んでいる黒ずくめのターミネーター青根だけは、皆から少しだけ距離を置かれていた。
しばらく烏野の面々と歓談していた伊達工メンバーだったが、烏野メンバーに別れを告げて次の出し物に向けて準備に入った。
その後も伊達工バレー部はフラッシュモブ風出し物を行った。
さすがに最後の方ともなると、青根が姿を現しただけでダンスが始まる事を周囲の人間に察知されるようになっていたが、それでも踊りが始まれば大いに盛り上がった。
伊達工祭一日目は大きなトラブルも無く、無事終了の時間を迎えた。
屋外に設けられた特設ステージにて、実行委員の一人がマイクを握って、観衆に向けて祭りの終了を告げる。
「では最後に、部活対抗杯の結果発表です!!」
バレー部をはじめ、今日の日に向けて力を入れてきた他の部の者たちは皆、実行委員の口から自分達の部の名前が呼ばれるのを今か今かと固唾をのんで見守っていた。
「…三位、バスケットボール部!!」
歓喜と悲鳴の入り混じった歓声が沸きあがる。
バレー部の面々は、「バ」のところで一瞬どよめいたものの、自分達の部ではなかったことにため息を漏らした。
「これめちゃくちゃ心臓に悪いな」
「……(コクリ)」
二口の言葉に、横にいた青根は静かに頷く。
相変わらずのターミネーター姿だったが、お祭りの雰囲気も手伝って意外とその場に馴染んでいた。
実行委員の声が会場に響き、二位はサッカー部であることを告げた。
残すは栄えある一位のみとなり、どの部もぎらぎらとした目でマイクを握る実行委員を睨み付けていた。
「…部活対抗杯、最優秀賞に選ばれたのは…」
ドラムロールの音が流れ、二口達は思わず息をのんでステージの上を祈るように見つめた。