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ハイキュー!! まとめ

第16章 愛の言葉を聞かせて/天童覚



…今年は2人でイルミネーションを見られないの、残念だな。
街にはクリスマスの時期限定で、日本でいう屋台のようなものが集まったクリスマスマーケットが開かれていた。
東京でも最近は似たようなイベントをやってるみたいだけど。
パリのクリスマスマーケット、ちゃんが見たら声をあげて喜びそうだ。
店先にぶら下げられた分厚い大きなクッキーとか、食べきれないのに買ってそうなところを想像してニヤニヤしてしまう。

「なんだろね。どうしても、考えちゃうよね」

白い息と一緒に、呟きも流れていく。

デパートのショーウィンドウの前に、人だかりができているのが目に入った。
ショーウィンドウの中で賑やかに繰り広げられている機械仕掛けの人形のショーを、子供も大人も楽しそうに見つめている。
それを遠巻きに眺めている自分は、寂しそうな顔でガラスに映っていた。

結局、部屋にいたって外に出たって、同じだった。
始終頭に浮かぶのはちゃんの事。
むしろ外に出たから余計考えてしまうのかもしれない。
カップルや家族連れの姿が多くて、ポツンとひとり取り残されたような感じがするから。

突然、ブルブルとスマホが震えた。
ポケットから取り出すと、メッセージを知らせる表示が出ていた。
ラインの画面を開くと『Bonjour!』の文字と一枚の写真が送られてきていた。
写真はうっすらとした青空の写真だった。右下にはちゃんの手だろう、ピースをした可愛らしい手が映っている。

今の東京は夕方17時のはずだから、今撮った写真じゃないみたいだ。
フランスの時間に合わせてわざわざ明るい時間の写真を送ってくれたんだろう。
一緒の時間を過ごしてると感じられるように、気を遣ってくれたのかな。
さっきまでもやもや悩んでたのに、現金にも嬉しくなってしまった。
もしこれが彼女の作戦なら、俺はとんでもない子と付き合ってることになる。
そういう子じゃないってのは、俺が一番分かってるけど。

『おはよ。でもそっちはこんばんはだね』

メッセージを打つと、すぐに反応があった。
送られてきたのはまた青空の写真だった。
さっきと違うのは少しだけ建物の影が見えることくらいで、特に珍しいものが映ってる様子はない。
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