第2章 栗より甘い、/青根高伸
「……う、嬉しい…」
ただ頷くだけでは足りないと思って、頑張って気持ちを口にする。
恥ずかしさで卒倒しそうになるが、なんとか堪える。
頑張った甲斐あってか、の顔はぱあっと明るくなった。
どうしよう、ものすごく、可愛い。
心臓がうるさいくらいにバクバク言っているのが聞こえる。
周囲に聞こえているのではないかと心配になるほど、鼓動は早く、大きくなっている。
「高伸くんも、同じ気持ちなんだね。私ばっかりじゃないんだね」
言っての大きな瞳から、また綺麗な涙の粒が零れ落ちた。
これはさっきの涙とは違う。
悲しくて流す涙じゃなくて、嬉しくて流す涙。
自分の言葉一つで、彼女がこんなにも喜んでくれるなんて、これほど嬉しいことがあるだろうか。
自分の気持ちを口にするのはとても苦手だ。
だけど、人はエスパーじゃない。
どんな気持ちも、きちんと言葉にしなければ相手に伝わらない。
気持ちを伝えたい相手なら、なおさら。
俺は最大限の勇気を振り絞って、言葉を紡ぐ。
大きな深呼吸一つして、絞り出すように。
「……、大好きだ」
次の瞬間には飛びついてきたを受け止めるのに精一杯で、他の事は何も考えられなかった。
ただただ、彼女の柔らかな感触を、優しく抱きしめていた。