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STORY

第3章 Love Distance


「もう、いいとこだったのに」

天は楽から下りると腰掛ける。

「二階堂、これは・・・」
「へぇ・・・お前らそういう関係、だったんだ?」

動揺からか、喉元が詰まった感覚に見舞われていた大和は、必死に声を出す。

「ちがっ・・・おい天!どういう事だよ!」
「それはこっちのセリフだ!」

天に怒鳴る楽に、大和は声を荒げる。

「二階堂?」
「お前、俺のこと口説いといて何なんだよ!」
「キミ、楽の事なんとも思ってないんでしょ?それなら楽が誰と付き合おうが関係ないんじゃない?」
「っ・・・俺帰るわ」
「また逃げるんだ?」

踵を返し部屋を出ようとする大和を、天の冷たい声が引き止める。

「ねぇ。痛い?辛い?キミのココ」

大和の正面に立ち、大和の胸元をトンと叩く天。

「答えなよ。キミのココ、痛い?」
「・・・・・・てぇよ」
「聞こえない」
「いてぇよ!!何なんだよコレ!」
「分かってんじゃないの?その痛みが何なのか」
「・・・っ」
「二階堂?」

顔をしかめて俯く大和に楽は声をかける。

「大丈夫か?」

大和に近付き手を差し出した楽。
その手を、大和はガシッと掴んだ。

「・・・・・・ろよ」
「え?」
「俺のこと好きでいろよ!!」

顔を上げた大和は、震える声で叫ぶ。

「許さねぇ。お前が、俺以外の奴と付き合うとか許さない!」
「・・・で、キミの気持ちは?二階堂大和」
「九条。俺も八乙女が好きだ。だからお前には渡せない」

真剣な眼差しを天に向け、大和は言う。
それを聞き、天はクスリと笑った。

「やっと素直になれたね。もう、このボクにとんでもないことやらせないで」
「は?・・・え?お前も八乙女が好きなんじゃ・・・」
「はぁ?そんな訳ないでしょ。やめてよ」
「天・・・お前・・・」
「じゃ、あとはお二人でどーぞ」

そう言うと、天は部屋を出て行った。
天の意外な行動に、楽と大和はしばらく呆然としていた。

「・・・九条ってよく分かんないな」
「そうだな」

笑い合う2人。

「二階堂・・・さっきのマジか?」

楽に聞かれ、大和はたじろぐ。

「な、なんの事かな~」
「誤魔化すな」

大和の両腕をガシッと掴み、逃げ場を塞ぐ楽。
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