第3章 Love Distance
「あっ、二階堂大和!!」
生放送から数日が過ぎ、ドラマ撮影のためテレビ局に来ていた大和は、誰かに呼び止められる。
「・・・九条?」
そこにいたのは天だった。
「1人?」
「あぁ」
「今日何時まで?」
「は?・・・一応20時だけど」
「ちょうど良かった。終わったら時間ある?」
「おにーさん、早く帰りたいんだけど?」
「大事な話があるんだけど、ちょっと時間作れない?」
珍しい天からのお誘いに、最初は戸惑っていた大和だったが、あの九条天が誘ってくるのも珍しいと思い、それを受けることにした。
『終わったらここにきて』
別れ際渡されたメモの場所に来た大和。
そこは、会員制のレストラン。
「さすが九条。こんなスゲー店知ってんだな」
店の出入口にはボーイが立ち、一見さんは追い払われてるのを目にした大和はたじろぐ。
が、指定してきたのは天だし、話は通ってるだろうとボーイに声をかけると、中へと案内された。
「こちらの一番奥のお部屋になります」
店の奥、のさらに奥に案内され、大和は歩を進める。
ドアを開けると、更にドア。
「・・・どんだけ厳重なんだよ」
そう呟いた時、ドアの向こうから声がする。
「・・・く。あ・・・のやめ・・・ぼく・・・・・・てよ」
聞き取りずらいが、それは天の声だった。
「誰かいるのか?」
と、ドアノブに手をかけた時、大和はふと思い出す。
「この感じ、前にもあったなぁ」
龍之介と壮五のことを思い出して笑う大和。
「九条~入るぞ~」
さすがに同じ事は無いだろうと、大和は声をかけドアノブを回した。
しかし、その考えは打ち砕かれた。
「・・・っ」
中には天と楽。
しかも、天が楽をソファに押し倒していた。
「二階堂!?」
押し倒されたまま顔を仰け反らせ、楽は驚く。
「あ、早かったね」
固まったままの大和に、天は平然と声をかける。
「お前ら、なにして・・・」
目の前で起こっている事が理解出来ず、大和の声は震えていた。