第1章 第1章その瞳『幸福』
一瞬だった。扉が開いたのもわからなかった。
「何者だ。」
少し低い声が聞こえてきた。
お腹には重み。
乗っかられているのは確かだ。
首にはクナイ。動けば切れてしまう。
すると、登っていた月が雲からでてきてその場を照らし出す。
「…………」
そこには、白髪の男性がいた。
頰と顎には赤い線がひかれている。
自分よりも年上なのは確実だ。
特徴的な顔を、何故か見つめてしまう。
首にクナイをあてられているときに思うことではないが、何故かそう思う。
目を奪われていると、首に当てられたクナイに力を入れられる。
「何者だと聞いている。ここはワシ以外誰も見ることも入ることもできない場所だ。どうやって入ってきた?見た所まだ子供だが」
「…………イ…」
「?」
「おじさんの髪!綺麗だね!こんな綺麗な白い髪見たの初めて!私とは大違い!」
「……は?」
初めて見た。
こんなに綺麗な白髪が世界にあったのかって。正直に思った。
白髪の男は呆れたように見つめてくる。
「貴様…この状況で言うか?…」
「え?なんで?」
「…いい。何者だ、名を名乗れ。」
そう言うと、白髪の男はすっとクナイを外し、立ち上がった。
目の前に手をだしぶっきらぼうに「ん」と言う。
私はその手をとり、立ち上がる。
「あのね!私は十禅寺千って言うの!おじさんは??」
「おじさん…。ワシは、千手扉間だ。」
『千手扉間』母が確か口にしていた。
「柱間様の弟よ」と。
そこで気づいた。目の前の白髪の男性がその弟だと。
「じゃあ『扉間様』だねっ!」
「?あ、あぁ…しかし、十禅寺の者か…。
だが何故ここが…?何故お前はそんな薄着でいる…。それに濡れている。」
「あっ!忘れてた!水遁の術を練習してたら湖に落ちちゃって。」
「…はぁ、子供でも女がそんな格好をするな。それひ風邪をひく。中へ入れ。」
扉間は呆れたように家の中へと入っていく。
千は「ほんと!?ありがと!扉間様!」と笑いながら中へと入っていく。
最後に思い出したのは、愛しいものの姿だった_…。