第1章 rain of dirty
携帯の音と光に機嫌を損ね気味起床したナッシュは、腕を伸ばしてそれを手に取り、操作慣れした指先で受信メールを確認した。
寝起きであっても、内容は頭の弱い女が送信してくるようなメッセージだ・・・理解に容易く、彼は鼻で笑って、マナーモードに設定しながら携帯をサイドボードに戻した。
そこで名無しが起きていたこと、その表情もすぐに軽く考察すると、もう一度嘲笑を漏らして彼女を煽った。
淫猥でいてふざけた会話は名無しをいとも簡単に辱める。
髪と同色の明るい目尻を細め、彼女に投げ打つ台詞のなんと相手を挑発したことか。
下劣な言葉に名無しが本気で否定の声を上げた瞬間、ナッシュは酷く高笑いを吐きながら、次の瞬間には彼女を組み敷くように身体を起こした。
上から抱き伏せ、華奢な顏のラインは片手で十分に掴み固定できる。
唇を重ね、舌で抉じ開け犯す口腔。
嘲笑のあとに真剣な声で囁かれたナッシュの言葉こそ、名無しが彼を拒めなくなる大きな要因のひとつだった。
「ん・・・、ぁ・・あ・・・、・・・ッシュ・・」
「・・・・ん・・、・・・ぁ・・」
「!・・・・ひ・・」
「名無し・・・・」
雨の音に、ベッドが軋む音。
そこに加わる二人の吐息と、名無しがたまらず上げる淫らな声。
シーツが擦れる音にさえ敏感になって、耳元に這うナッシュの舌が、彼女の秘部をひくひくと震わせる。
「ナッシュ・・・・」
ナッシュの髪や頬を伝い、滴る彼の汗が名無しの身体にはたりと落ちる。
首筋や胸元に元々付けられていた彩りにも再び口を窄められ、ぎゅっと痛々しい跡を残される。
「・・・っ・・。ぁ・・・」
再会の度いつも跡をなぞられて、まじまじと所有の証であることをナッシュは確かめる。
名無しはそれを付けられる度に、次がまだあるのだなと確信を持ち、支配されている実感を抱いていた。
ふと、熱情のこもったセックスを交わし、激しく突かれながら時々思うのは、自分は残してもいいのだろうかということ。
その点においては、付けろとはっきり迫られたことがなかったゆえに、名無しはぼんやりと彼を見つめ考えた。
そして。