第1章 rain of dirty
「・・ッ・・・・」
「・・・どうした?・・・!おい・・・」
「・・っ・・・・んん・・、っ・・!ごめ・・・」
「ッ・・―――・・・フッ・・。おまえ・・・そんなにオレが、連絡を寄越した女どもとヤるか心配か?こんな跡・・・付けたところで、意味なんてないぜ」
「!!・・・あ、・・ぁ・・・」
「ムキになりやがって・・・考えられなくさせてやるよ・・・ほうら」
「――っ・・・ナ・・、・・・・」
無意識に頭を起こし、律動のさなか、ナッシュの首筋に口付けを試みる。
名無しはそこにきゅっと吸い付くと、ほんのりと赤みを刻み込んだ。
勿論、ナッシュは律動を続けながらも一応は驚きの反応をしてみせた。
けれど名無しがそう行動に出た意味を分かっていたから、すぐにまた嘲笑う。
自分の捕まえた女のなんと、実は嫉妬深いことかと・・・そういう意を込めた黒い笑みだ。
「ナッシュ・・・いや、・・や・・め・・・!痛・・っ・・・」
「覚えとけ・・・こうやって吸うんだよ・・。ンッ・・・」
「――・・・っ・・」
「・・・・ん・・、名無し・・」
「!!んん・・・」
まるで、子供が誤ってしゃぶりついた結果付いたような跡だ。
そんなナッシュの首筋は、数時間、数分もすれば赤みは消えゆくだろう。
名無しは自分の不器用さに恥ずかしさを覚え目を伏せたけれど、それよりも悔しかったのは、自分が取った行動の真意をナッシュに悟られていたこと。
そうじゃない・・・そう全力で否定できなかったことが何よりの証だ・・・もはや言葉もなかった。
自分はやはり彼をどこかで独占していたいのだ。
ただの身体だけの関係・・・安い身でありながら。