第1章 rain of dirty
「・・・・!!・・ッ・・・ナ・・ッ」
「ん、・・・・――うるせえよさっきから・・・ん・・」
「っ・・・・」
「・・・・あ・・?おまえ、起きてたのか?」
「・・・返事。返した方がいいんじゃないの・・?」
「?・・・・!そういうことか」
「!?」
「・・・ハッ・・ハハ・・・!」
盗み見るつもりはなかった。
それでも、最初に視界に入ったメールの数行にあった、露骨に卑猥な単語に嫌悪感を抱く。
寝そべってからも受信していたメールだって、どうせ同じようないやらしい文章が綴られていたことだろう。
こんな男の言うことをきいていることも、逃れられずに縛られていることも悔しくてならない。
それでも悔しさより勝る自分の欲望が、名無しを歯痒さで溢れさせる。
この男に何を望めば正解で、自分は彼に、何を口にすれば未来に光が差すのか。
ただそこにあったのは、紛れもない嫉妬の二文字だ・・・。
「明日は終日雨らしいからな・・・確かに、だからオレはおまえを呼び出した」
「っ・・・・」
「珍しいな。そんな不機嫌そうなカオしやがって・・・まあ理由は・・――」
「ナ・・ッ!・・・・ん・・」
「ん・・。――・・返事ねえ・・・なら、今から来いとでも打てばいいか?複数でヤッたことねえだろう?おまえ」
「!いや・・・・ッ・・、――」
「ハハッ・・・困るよなあ?・・・・――冗談だ。放っとけよ・・・ん」
「ッ・・・ん、んっ・・はぁ・・・」
覗き見されていることが本当に腹立たしい。
本人にその気がなくても、手の内も、本音も見透かされているような・・・そんな気がする。
ナッシュに見える未来に、もしも自分が映っているのなら・・・その自分はどんな表情をしているのだろう。