第2章 序章
「本当にそう思ってんのか」
そう口に挟んだのは影山だった。
「飛雄…?」
「お前は知りたくないのか?何故、サクラノ村が滅んだのか。そして魔族たちが狙っている『イブ』の魂とやらとお前が何の関係があるのかどうか」
「……」
「―――無理に、とは言わないぞ。お前がそれでいいなら、俺もお前の意思に従うぞ」
そうだ。このまま怯えて閉じこもっているのは臆病者と変わりないじゃないか。このまま薄暗い部屋で怖い夢を見続けての繰り返しはもう嫌だ。
『俺たちの代わりに生き延びてくれ!』
皆、そういっていたじゃないか。なら、村の人たちのためにもここで怯えて閉じこもっているわけにはいかないんじゃないの?
「……村の皆は、僕の代わりに犠牲になった…。だから、村の人たちのためにも僕はこれから生き延びなきゃならない」
「冬樹?」
「――飛雄、頼みがある。
『僕』という上原冬樹を殺してくれないか」
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「―――で?結局『イブ』は見つかったの」
「…いえ」
「なぁ~んだ、期待外れ。2年前に逃がしちゃってから全然じゃない、やっぱりその時に魂取り出しちゃえばよかったのに」
「……」
「報告によれば、村人がその子をかばったのでしょう?かばって殺したあとも、すぐ追いかけられたはずだわ」
「……村の守り神の仕業です。私が手を下そうとしたときに、あの子を守るかのように結界をはり遠くへ飛ばしたのです」
「言い訳にしか聞こえないデスケド…。まー、きっと気配とかも感じ取られるんだろ。なんてったって『片割れ』だしなぁ」
「『アダム』はどうなの?貴方が探しているんでしょ、クロ」
「あ~、うんまあ、今探索中…」
「早くしてよねぇ、その二つの魂がもし巡り合っちゃったら俺ら勝てっこないんだから…」
「わ~ってるよ…、ったく、マテの出来ない大王様だなぁ」
「では、私は再び『イブ』の魂所有者の始末をしに行きます」
「どっちでもいいけどね、始末でも取り出すだけでも…。まあいいや、失敗は許さないよ?
―――冬花ちゃん」