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HQ!!Quest ~ 繰り返される奇跡~

第2章 序章 


そのおふれの紙にはこう記されていた。

〝我が国に住む国民達に告ぐ。先日未明、城付近で魔物の襲撃があったとの報告があった。しかし我が城の者たちは魔物を倒すような力を持ち合わせていない。そこでその国民の中から魔物を倒すことのできる力を持つものが入れば喜んで褒美を与えよう〟

「これは――」

一体どこからこのおふれ書きを拾ってきたのだろうか、日向のことだ。また町に住んでいる友達に会いに行ってこれを見たのだろう。

「なっ、な!?きっと俺たちならできるって!」
「確かにそうかも知れねぇけど、冬樹が戦えるかどうか…」

そう、冬樹はあの2年前のあの日から一切魔物を相手にしていないし、魔法だって傷を治すくらい。そんな彼女が魔物と対峙すれば、故郷のサクラノ村のことを思い出してしまうかもしれない…。

「そんなの本人に聞いてみりゃわかるだろ!?」
「あっ、おい日向!勝手に上がるな!!」

影山の忠告も聞かずに、日向はドタドタを走り冬樹の部屋へ。

「冬樹!冬樹!俺だよ、日向だよ!」
「………日向?」

ドンドンとあまりにも五月蝿いノックをする彼に、冬樹はけだるそうな声で返事を返す。仕方なく部屋に入らせると、冬樹はベッドから出て日向の前に立つ。

「何しにきたの?僕は外には出たくないんだよ」
「そー言わずに聞いてってば!見てよ、これ!この国の王様からのおふれがきが出たんだ。きっと俺たちならこなせるんじゃないかなって思ったんだけど…」

日向からそれを受け取り、冬樹は一目読むとすぐ日向につっ返した。

「無理」
「エッ!何で!?」
「まだわからない…?これで話すのももう何回目かもう数え忘れちゃった―――僕は、魔物に村を滅ぼされたんだよ!」
「…!!」
「冬樹…」
「あの村が滅んでから魔物が頻繁に現れるようになったのは、きっと『イブ』の魂と関係がある僕を探しているからに違いないんだよ…。何度も何度も夢に出てくるんだもの、そんな僕が外で魔物退治!?自殺行為みたいなものじゃないか!」

ボロボロと涙があふれる。冬樹は村が滅んだのは自分の所為だと思っていた。村を離れていなければ、もし魔物が襲って来るってわかっていたなら―――助けられたかもしれないのに…。

「帰って…。僕は……、私はもう関わりたくないの……っ」
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