第2章 泣きたくなる夕焼け
いつからかあたしは夕方の川辺に行く事が増えた。
一人で涙を流すには丁度良い場所だったから。
夕方の優しい赤はおそ松兄さんを思い出させてより気持ちを発散出来た。
誰にも言えない。
カラ松兄さん、チョロ松兄さん、一松、十四松、トド松にも。
あたしとおそ松兄さんの事を知っている人には絶対に。
「ねぇねぇ、君なんでいつも泣いてるのさ~?こんなにキレイな夕焼けなのに!泣いてたらもったいないよ?」
急に声をかけられビクリとして顔を声のほうに向けると、ニコニコと犬のように人懐っこく今時の格好と優しい色合いの髪色をした少年が話しかけてきた。
「あなたには関係無い事でしょ…。」
そう呟くと少年はそうだけどね~なんて笑ってる。
「オレねぇサフィヤってゆーの。まぁ、見てのとーりブラブラしててさ!いっつも君が泣いてんの見てたんだよね。」
サフィヤという少年は一人でケタケタと笑いながら色々な話をしてきた。
また明日も会おうよ!待ってるからさ!
なんて自分勝手な約束を取り付けられて。
そしてのこのこ来てしまっている。信じたらダメ。心を見せたらダメ。わかっているけど…。
「サフィヤ…あたしはどうすればいいのかな…?」
「ん??君はどうしたいの?」
「伝えたいけど…見せたいけど…もうね…その人に伝えられるほど、見せられるほどキレイなモノじゃなくなってるの…。むしろぐちゃぐちゃで真っ黒で汚い。」
「見せてみないとわからないんじゃない?汚いからってさ、いつまでも隠してて、そのまま時間ばっかり過ぎたらさ、もっと汚くなるんじゃないの?」
優しい笑みで言われて。
「てか!いい加減名前位教えてよぉ~!!」
サフィヤは頬を膨らましてワザとらしく怒って見せた。
そんな姿を見られているなんて思いもしなかったけれど。