第2章 泣きたくなる夕焼け
おそ松兄さんのまわりには、ここ半年女の人ばかりがいた。
兄さんだって男の人だし、大人だから恋人くらい出来る…
そうわかってはいたけれど、毎回見かけるたびに違う女の人といる。
流石に用心深いおそ松兄さんだから屋敷や事務所には連れてこなかったけれど、
カラ松兄さんと仕事で出かけていると
女の人と腕を組んで街中に消えていくおそ松兄さんを何度も見た。
どんなに忙しくても毎日屋敷に帰ってきていたのに、全然屋敷には顔を出さなくなった。
それが余計に心を醜くさせた。
あたしの恋心はどんどん醜くボコボコになっていった。
キレイな白だったこれはもはや白であったのかすら怪しい汚い色に変わって。
おそ松兄さんと二人で広間に居る事が無くなった辺りから
あたしは睡眠時間がとても短くなった。
ショートスリーパーなんて言えば聞こえはいいけれど、
三時間程度しか眠れて居ない。
眠くないわけではない。ただ怖いのだ。
起きたらあのなにも無い部屋に繋がれている事が。
今が夢になってしまうのが。
ある日、カラ松兄さんから、あたしの護衛兼世話係をつけると言われた。
「ソイツが気に入らなければ、そう言ってくれて構わない。」
電話を掛けるとすぐにドアがコンコンとノックされた。
「失礼します!!サフィヤです!!」
深々と頭を下げるサフィアはきっとあたしには気づいていないのだろう。
「顔をあげろ。」
カラ松兄さんが短く言うとサフィアはブンと顔をこちらに向け、あたしと目が合い青くなった。
「今日から、ユーリの護衛兼世話係に任命する。いいな?」
「はい!カラ松様!!よろしくお願い致します。ユーリ様」