第1章 月がキレイだから
黒い髪に金色に光る瞳が気持ち悪くて。
殴ったり蹴ったりすると痛いと大泣きし、やめて欲しいと縋り付く。それが気持ちよく心がすっきりしたからどんどんエスカレートした。
そんな日々を過ごすうちに女の子は表情すら変えなくなった。無表情で殴っても蹴っても…
爪を剥がすと顔を歪め涙を流した。ますますそれが気持ちよかった。
さすがにそれにも飽きたし、
こんな気味の悪い子を屋敷に置いておくのも嫌になったから、売り飛ばそうと夫と相談した。
長年部屋から出していないので性的知識もなく処女だ。
少しは金になってこの子が居なくなるならと。
「ふーん。で、この子いくら?」
「お金なんていりませんから!ですから、私達の命だけは!!」
「どうしようかなぁ~」
と、笑顔で次男のカラ松を見るとまかせろといった顔でニコリと笑った。
「ふむ。だがな…こちらもこーゆー仕事だ。はいそうですかとはな。」
「ではどうすれば…」
「うむ。じゃあこうしないか?血縁者の中から納得して誰かを犠牲にすれば、残りは助けてやる。せいぜい話し合え。」
四人は困った顔をして話し合っている。そこにカラ松が柔らかく微笑む。
「俺は血縁者と言ったんだ。そこの女の子でもいいんだぞ?まぁその子が自分から望めば…な。」
四人は口々に女の子を説得し始めた。女の子は一言も口を開かずにおそ松の前に来て跪いた。
「殺してください…」
か細い声で微笑みながら言う。こんなキレイな子は見たことが無い。
俺は弟二人と側近に目配せをした。
乾いた音と共に床は真っ赤に染まる。