第11章 自分の気持ち
「うそ…コレ欲しいって蛍に言ったことないよね…?なんで…」
蛍とあのお店に行ったことも
あのお店の話もしたことがなかったのに…
ましてやこれが欲しいなんて一言も言ってない。
「欲しかったモノなの?」
「そう。でも持ち合わせがなくて、買わなかったら、そこのオーナーさんが縁が繋がればあたしの元に来るって…だからびっくりもしてる…」
「へーあそこの人変な人だよね」
「え、あーそうだね。変わってるよね…あの、着けてみてもいい??」
「え?あ、どうぞ…後ろ向きなよ。僕が着けてあげるから」
「ありがとう…」
着け心地がいい。
なんだか自分が蛍の特別になったみたいで
それもまた嬉しくて。
「これ、学校にも着けていけるかな?」
「うちの学校ゆるいから大丈夫じゃない?」
「着けて行っていい?」
「好きにすればいいデショ」
蛍は耳を赤くしてそう言うからさらに嬉しくなって
「ふふふ。やった。」
こんな風に笑えるなんて
さっきまで思ってもみなかったから
帰ろうか
と言われちょっと寂しくなりながら頷いた。