第11章 自分の気持ち
電車に乗ると彼はぼそりと
「血止めなきゃね…。」
「大丈夫だから。ポケットティッシュ持ってるから…」
わかってる。
もう甘えたりしない。
一人で何でもできるようになる。
大丈夫。
一人で大丈夫。
大丈夫だから。
泣きそうになる自分に何回もそう言い聞かせながら…
だからもうあたしに近づかないでよ…。
正直足も手も痛いけど
このままだと彼とずっと一緒に帰るようになるから…
少し遠回りだけど違う方角で帰ろうとしたら
彼にまた腕を引っ張られた。
蛍は公園に着くとケガしているところを水洗いしよう
と言って水を出してきた。
「ありがとう…月島君…」
もう一人にしてほしい。
「はなしがしたいんだケド…」
なんで嫌いなのにあたしに関わるの…?
「話すことなんてもうないでしょ?月島君の気持ちわかったから…。もう迷惑もかけないし…傍にもよらないよ」
「そうじゃなくて…」
「何が…?もう、帰りたいんだけど…」
出来るだけクラスの男子と話すような風に
話しているつもりだけど…。
上手く演じれない。
上手く笑えない。