第11章 自分の気持ち
「行けばいいんじゃない?僕はブッフェ行きたかっただけだし。もうこの後だって予定ないんだから。行けば?じゃあね。先輩たちあと頼みます」
冷たい蛍の声がして…。
あたしを置いてスタスタと歩いていく後ろ姿…。
買ってきたアイスは二つとも地面に落ちていた。
大地さん達にすみませんとだけいって
慌てて蛍を追いかける。
「ま…て…け」
何度も待ってと伝えても蛍は止まってくれない。
ヒールだからなかなかうまく走れなくて
やっと捕まえられた蛍の腕…
「何?」
無表情…冷たい瞳…冷たい声…
「待って、あたしカラオケ行きたいなんて…」
そんな顔で見ないで…あたしの事…そんな瞳で見ないで…
「僕さ、君のそういうところが本当に大嫌いだよ。イライラするんだよ。今日だってブッフェに山口と行くと目立つから君と行っただけだし。君がカラオケ行こうが僕には関係ないから」
蛍はそう言うと手を無理やり払って
またスタスタと歩いていく。
それでも待ってって
伝えたい事いっぱいあるのに…
一生懸命蛍についていこうと足を運んだけど
ついバランスを崩してしまい
大きな音を立てて地面に体を打ち付けてしまった。