第10章 嫌われるのが怖いだけ
「蛍見て!から揚げ沢山!山盛りだよ~!!いただきまーす!」
タイミング悪いな。
と思いながら普段通りにご飯を食べる。
「言いかけた事気になるんだケド?」
もう言う雰囲気じゃないし…流してしまおう。
「ん?あー…蛍が持っていてくれた方がご利益ありそうって意味だよ」
蛍は訝し気な顔をしながら
「…わかった。僕一人は嫌だから、交換しよう。僕は由佳の幸せを願えばいいんデショ?なら由佳も僕の幸せを願ってくれるって事だよね?」
「え…?」
「え?ってなに?自分の幸せは願わせておいて、僕のは願わないつもりなワケ?」
「…そうだよね。ちゃんと願うよ。蛍の幸せ、沢山沢山願うよ…!!」
そう言ってお互いの小瓶を交換した。
蛍がご飯をごちそうしてくれて。
その後はこの周辺をぶらぶらすると言うことになったから…
今なら少しのわがままも許して貰えそうな気がして
蛍の手を握った。
「ちょっと、なに?人なんていないデショ…。」
「人がいないから…知ってる人も…だから…少しだけでいいから、こうしてたらダメかな…?」
「………勝手にすれば…」
顔を背けられたけど
手を繋いでいることを蛍は許してくれた
少しいった海辺の近くに雑貨屋があった。
昔いた場所みたい
ってつい口に出してしまった。
今なら、あたしがいたって証拠、
もっと増やせるかもしれないと思って
お揃いで雑貨買おうよ!
って言ってみた。
「変な物じゃなければいいよ」
変なモノじゃない使えそうなモノを探していたら
ペン立てがあった。
その中にペンギンがいた。
ペンギンは一夫一妻ってイメージがあるから
素敵だなと思い、小さなピンク色と水色のペン立てにした。