第10章 嫌われるのが怖いだけ
今気持ちを伝えたら蛍はなんて答えてくれるのかな…
伝えても桜貝を一緒に探してくれるかな?
こんなデートみたいな素敵な雰囲気は
神様がくれたチャンスかもしれない。
「蛍…」
そう思い伝えようとしたら
「探しにいかないの?」
って、感づかれたのかな…?
「蛍よりいっぱい取ってやるぅ~!!」
普段通りを装って。
一生懸命探していたら、番の桜貝を見つけた。
番の桜貝は恋が叶うって噂があって。
「すごくない?!番の桜貝だよ!!」
嬉しくて蛍に見せに行ったら
蛍はぷっと吹き出しながら
あたしに、蛍が見つけた桜貝の番を見せた。
「なんだぁ~…。蛍も持ってたんだ。番の桜貝って珍しいのに…」
「さっき見つけたんだよ。由佳がこっち来る前に」
「そっか。番の貝は持ち帰ると恋が叶うって地元だと言われてたなぁ~。」
「へぇ~。見つけられて良かったじゃん」
「うん…そうなんだけど…でも!噂は噂だし!!!」
噂は噂なんだね。二人で見つけたら…意味がないのに。