第10章 嫌われるのが怖いだけ
大きな駅で乗り換えになった。
正直こんなにごちゃごちゃしていて知らない駅なんて怖い。
只でさえ方向音痴の自分がここで一人になったら
と思うと自然と蛍の服を掴んでいた。
「ちょっと、服が伸びちゃうんですケド。」
蛍は少し不機嫌そうに言って
「だって、人いっぱいで…コワイいんだもん!じゃあ…」
っていいながら冗談で手を握ったら
「…。今だけだからね。はぐれられても困るし!」
なんて言ってくれながら
手を繋ぎ少しだけ強く握ってくれて…
「よろしくお願いします!」
嬉しくて、自然と笑顔になって伝えた。
電車に乗ったら蛍の手から力が抜けていくのが嫌で…
もう少しこのままがいいと手にギュッと力を入れた。
蛍は抵抗も文句も何も言わず
そのまま手を繋いだままでいてくれた。
多分、迷子になった方が面倒だとか思ってるんだろうな。
でもそれでもいい。