第1章 名前
「…という訳です。だからバレーは好きじゃないんです。」
「そうか…。だからと言って嫌いになる理由もないだろう?そうやってバレーを避けなくてもいいんじゃないか?」
「…でも…」
「出来なくても、応援したりはできるだろう?観戦するだけでもまた違うんじゃないか。俺が見たかぎりお前は無理してバレーを嫌いになろうとしているようにみえる。ボールを触っているお前は楽しそうだったしな」
「…。」
「はっきり言えば、お前の辛さは俺にはわからない。でも、無理をしてまで嫌いになろうと俺は思わない。」
短髪の男の子はニカッと笑うとあたしの頭をくしゃっと撫でた。
「そういえば、自己紹介がまだだったな。俺は澤村大地。三年だ」
「あたしは…佐々木由佳です。一年四組です」