第6章 君の左側
きっと、蛍のタイプを聞いても
「由佳みたいじゃない子」
っていうんだろうなぁ…。
そんな事を考えていたら蛍から
「もう、出よう。」
と言われて…
ただ頷くしか出来なかった。
でも…もう二人っきりで出かけるなんてないかもしれないから。
勇気を振り絞って
蛍の服の裾をくいっと引っ張って立ち止まった。
「ねぇ…」
「何?」
断られたら嫌だな…って思いながら
「えっと…喉乾いて…それで、何か…蛍と…一緒に…甘いもの食べたいなって…」
上手く伝えられなくて、ま
た不機嫌にさせるかも?と思ったら
「別にいいよ。何が食べたいの?」
凄く優しい声で、あまりにも優しい声過ぎてびっくりして
「え?あ、甘いもの…!!」
自分でも曖昧すぎるって思ったら
「甘いものって…、スイーツにも色々あるデショ?ケーキとか、アイスとかさ」
やっぱり蛍も思ったようで、
それでもいつもより声のトーンも
凄く優しくてさっきと全然違って
「んと…ケーキがいい!あとね、冷たい紅茶かコーヒーが飲みたい…」
蛍の好きなモノで
あたしも食べたいモノと飲みたいものを選んで
「わかった。僕もそんなに詳しくはないから後で文句とか聞かないからね」
やっぱり優しいトーンで話す蛍に
凄くうれしくなって、
不安感が一気に無くなって
「うん!!やった!楽しみ!」
って自分でも単純だとは思ったけど
嬉しくなっていつものように話せて。