第4章 侵略の音
お互いを睨み合って部屋に戻っていた2人。
当然怪我の手当はしていない。
しかしどちらの部屋にも救急箱の類がないのは知っているので、とりあえず救急箱を片手にそれぞれの部屋を訪ねることにした。お父様もそういうつもりだったのだろうしね。
まずは聞きやすいジョナサンの部屋へ。治療がてら話の経緯を聞き、次にディオの部屋に。
ジョナサンの話を聞いて、あちゃーと思ってしまったのは仕方のない事だと思う。うん。
「ディオー、入るよー」
「……っ!? 勝手に入るな!」
逐一聞いてたら部屋に入れてもらえないからね、さっさと入りますよ。
「はいはい、いいからお姉ちゃんに傷口見せて」
「誰がお姉ちゃんだ……!」
「んー、じゃあお姉さまでもいいよ」
どうやら痛いものは痛いらしく、比較的大人しく(とはいっても若干噛み付くけど)傷口を出してくれた。いい子いい子。
まあ、手当をする前にやることがあるけど。
「チョップ!」
「おわっ!?」
ディオの頭をはたき落とす。……そこ、それはチョップじゃないとか言わない!
完全に油断していたディオは、ずぼっと座っていたソファに沈み込んだ。
「……何をするんだ」
ゆっくりと顔をあげ、下から睨みつけて怒りを露わにするディオ。でも私だって怒ってるんだよ!
自分自身もソファから立ち上がり、座った状態のディオを見下ろす形で仁王立ちになった。