第4章 侵略の音
「あのね。エリナちゃんは私の友達なの」
あの一件以来、エリナちゃんは私に懐いてくれた、貴重な貴重な女の子の友達なのだ。そんな彼女の夢やらなにやらをぶち壊して無体な真似をしてくれたディオに一発喰らわすくらいの権利はあるはずだ。あとで謝りに行かないと。
「女の子の夢を木っ端微塵にするなっ! 男の風上にも置けない奴め!」
頬を両手で挟み込んで逃げられない様にしてから、おでこ同士をくっつける。コツン、と軽く頭突きをして、手当を再開させた。
ジョナサンを孤立させるために色々やってるのは知ってたけどさ、まさか女性の唇を奪うとは思わなかったわ。
……打撲、酷いな。まあ、あのジョナサンに力いっぱい殴られたんだし、これくらいは出来るか。湿布足りるかな。
「……一体お前は何なんだ、どっちの味方だ……?」
「私は家族と友達、大切な人達の味方だよ。それは絶対に変わらない」
当たり前でしょ? 私は、私が守りたい人達を守るの。
今更問われるまでもないし、そんな事を聞かれても困るよ。
「ジョナサンだろうが、ディオだろうが、エリナだろうが。偉かったら褒めるし、駄目なことをしたら怒るし、危ない事をしたら心配するの。皆私の大切な人だから」
ディオは理解が及ばないのか、ぐしゃっと顔を歪ませている。弱い者は奪われ踏みにじられる。強さこそが全てで育ってきたから故かもしれない。