第4章 侵略の音
「随分と子供じみた意地悪ね?」
こっそりと近づき、後ろから少年の人形を取り上げる。ついでに膝カックンもつけて。
「な、何するんだ!!」
全く気がついていなかった少年は、突然の膝カックンに転げながらも声をあげた。
少女を庇うように目の前に立ち、ゆっくりと笑ってみせる。
「女の子をいじめて遊ぶ、お馬鹿なお子ちゃまから人形を返してもらっただけよ? 自分より弱いのをわかっていてこんな事をするなんて、あなた達が嫌う卑怯者のやることでしょう?」
卑怯者であるあなた達が、ジョナサンの事を卑怯者と罵れるのかしら?
噂が本物かなんて確かめもしなかったのに、ね?
ニコニコ笑いながら転げる少年を見下ろす。
少年たちはさぁっと顔を青くした。
「お、俺達はなにもしてない! 卑怯者なんかじゃないからな!」
「……あら、逃げ足の早い」
決して敵わないと悟ったのか、足をもつれさせながら逃げていく背中を見ながら言葉を投げる。
見えなくなったのを確認して、私の背中で泣いている少女に人形とハンカチを渡す。
「はい、どうぞ。大丈夫? お人形、何かなくなっている物とかない?」
「……大丈夫です。お姉さまに助けて頂きましたから、何も」
「そっか。それなら良かった」
「あの、さっきジョナサンって」
おずおずと効果音が付きそうなほどおっかなびっくりに尋ねられる。どうやらジョナサンの知り合いみたい。
「私はクロノ・ジョースター。ジョナサンのお姉ちゃんです」
「まぁ……ジョジョのお姉さま……!」
怯えていた瞳が一気にキラキラと輝いたのがとても可愛らしい女の子だった。