rain of sensuality【黒バス/ナッシュ】
第1章 rain of sensuality
『・・・・今日・・・』
『?・・・・なんだ』
『っ・・・待ち合わせ、の・・・前・・』
『!・・・ハッ・・・まさか見てたのか?』
『・・・ッ・・』
会える日はいつも限られている。
その遠因は、下衆であろうあの性格を以ってして、自分の存在をチームメイトに隠していたのもひとつあてはまる。
そんなナッシュには少し違和感を覚えていたけれど、特筆して気にしすぎる必要はないだろうと、そこは何故かプラスに思えた。
気に入った玩具扱いなのだ・・・その枠に居る以上は、時々会って肌を重ねる、それ以上も以下もない。
『なぁ・・・オレが誰と何処に居ようと勝手だろう?おまえも、誰に足を開いたっていいんだぜ』
『ッ―――・・・・』
『ああ・・・、開かねえか・・・開けねえよな・・?おまえは・・・オレにしか』
無機質に感じる英文のメール。
同じ文章でも、きっと違う人から送られて来れば棘も感じないだろう。
受信されたメッセージに記載された待ち合わせ場所に向かう途中、名無しが偶然見かけたのは、同じく待ち合わせ場所に向かっているナッシュだった。
来た道が同じだったのだな・・・そう思いながらも、合流地点までは声はかけないのが、なんとなく彼女の中で決めていたルール。
どうせあと数分で落ち合い、そのまま彼の部屋か一室かで身体は重ねるのだ、気にせず前を見て歩こうと、名無しが再び足を進めようとしたときだった。
立ち止まったナッシュが身体の向きを変えると、彼の隣に見えたは女性の姿。
寄り添って腕に手を回し、密めいた関係を思わせるような距離感で話をしていた光景が名無しの目に映ると、彼女は一気に気分が害されてゆくのを感じていた。
待ち合わせてからは、見てしまったという事実を気取られないよう、その努力をいつも以上に必死にしてみせた。
けれど、ベッドの上で服を脱がされ、ナッシュの指先が自分の肌に触れた途端とてつもない嫌悪感が全身に走った。
気が付いた時には目にしたことを含ませながら口にして、名無しは心の奥に生まれた、認めがたい感情に動揺を抑えられなくなっていた。