rain of sensuality【黒バス/ナッシュ】
第1章 rain of sensuality
昇りつめて疲れ果て、本来柔らかい筈の枕を強かに感じる。
それが人の腕であり、筋肉が頬にあたっているのだと気付いた瞬間が、当然ながら眠りから覚めたときだった。
名無しはうっすらと目を開けながら、天井を見据えていればよかったと一人悔いる。
最初に視界に捉えたものが、逞しい白肌に刻まれた浅黒い模様だったことが、彼女に嫌という程現実を見させていた。
「起きたのか」
「!・・・・・っ・・」
「フッ・・・おまえ、随分ぐっすりだったぜ・・必死に腰振ってたもんなァ?」
「ッ・・や・・・」
「おいおい・・・オレは事実を言っただけだ。・・・来い」
「・・っ・・・ん・・」
伸ばされていた左腕が曲がり、その中に閉じ込められる。
隆々とした上半身は勿論何も着ていない、ナッシュの隣で休んでいた名無しはより抱き寄せられると、彼の心音を近くに感じた。
その鼓動を聞き、恋をしている、という意味でどきどき出来ればまだ可愛いものだろう。
そうは思えず、それどころか抱くのは火照っていた身体が冷めやんだ今、彼が何を企み、これからどうされるかということ。
きゅっと疼く臍の奥が、名無しの表情を甘やかににじる。
「・・ちゅ・・・んん、・・は、ぁ・・・んっ」
「・・・なんだおまえ・・、思い出したのか」
「っ・・・・そんなこと・・、は・・、んん!」
「ん・・・・さっきよりも舌の動きが鈍ってるぜ。・・・なぁ?思い出してたろ・・・?」
「、・・・・ッ・・・」
「分かりやすい女だな・・・ほら、乗れよ」
「あ・・・」
嬉しいことがあると簡単に頬が染まる。
元々知られていたことだから、そんなことはないと、表情を変えまいとして必死に装う。
が、まあそんな抵抗は意味もなく、名無しはあっさりと耳までをも紅潮させ、ナッシュに自身の思考を読まれていた。
鋭利な視線を重ねられるだけで、辱められた気持ちになる。
唇を奪われれば、身体の中心が熱くなる。
そのキスの仕方ひとつで手に取るように胸の内を暴かれて、名無しは返す言葉を失った。