第3章 或る爆弾
探偵社・社内
フロアの奥には机の上に座る青年が一人と、学生服を着て床に座らされ拘束されている少女が一人。
爆弾魔立て篭もり事件、と言う名の中島敦の入社試験が始まった。
同じ社員で犯人役の谷崎潤一郎とその妹で人質役の谷崎ナオミ。
(にしても迫真の演技ね、谷崎兄妹)
「怨恨だ」
「メンドウなタイプだね」
「犯人は探偵社に恨みがあって、社長に会わせないと爆破するぞ、と」
「ウチは色んな処から恨み買うからねぇ
…それにアレ、高性能爆薬だ
この部屋くらいは吹き飛んじゃうね、爆弾に何か被せて爆風を抑えるって手もあるけど…
この状況じゃなぁ」
『それにしても、女の子を人質に取るなんてね』
「茉莉さん、あの女の子は…?」
『彼女はバイトで事務員のナオミちゃんよ、可哀想にあんなに怯えちゃって』
とは言えてもナオミ本人は大好きな兄に乱暴に扱われ、縛られて内心かなり興奮しているんだろう…
『国木田さん、治、どうするの?』
「会わせてあげたら?社長に」
「殺そうとするに決まってるだろ!それに社長は出張中だ」
『となると…人質をどうにかしないと、私行きましょうか?』
「いや、ここは俺達が行く荒木と小僧は此処で待っていろ」
と言うと無言でジャンケンを始める国木田と太宰。
結果国木田が負け、舌打ち一つ着くと犯人の方へ向かう。
交渉に向かうがあえなく失敗。
探偵社員が行っても余計警戒されるだけだと思う言いながら太宰は、敦を見ながら にやぁ と笑う。
「嫌な予感しかしないんですけど…(汗」