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もう一人の女医 【文豪ストレイドッグス】

第14章 ウィル・オブ・タイクーン



指示を受けた国木田、谷崎が組合と激突し食い止めている間に、事務員の春野とナオミは組合の妨害が有りながらも、途中停止させて貰っている旅客列車の発車した一寸の処で飛び乗る。

そのまま次の停車駅に待機している太宰、敦と合流する事になっている。私はその停車駅まで四人を迎えに行く。特に私には敵からの攻撃も無く、無事、雲水駅へ着くことが出来た。

『治、敦くん。春野さん達は?』
「早かったね茉莉、二人は未だ到着していないよ」
『法定速度ギリギリで守って来たから、案外早く着いたわ』
「…茉莉さん、それはアウトなのでは?(汗」
『……そう云うのはね、敦くん。バレなきゃ大丈夫だよ(キリッ』

苦笑いしか浮かばない敦。未だ到着していないのなら仕方ない、と二人が座る長椅子に腰掛ける。

「…ナオミさん達の乗った電車、遅いですね」
「ポートマフィアの森さんは、合理化の権化でね。数式の如き冷徹さで戦況を支配する」
『気が緩んでいる今なら、あの人は必ず何か仕掛けてくるだろうね』

すると、いきなり太宰が立ち上がる。よく見れば何処と無く顔色が悪い。
『治、どうしたの?』「太宰さん?」
「…敦君、茉莉。此れ、食べ過ぎた所為か、急に差し込みが……」

太宰の手元を見ると、空になっている犬用食料の袋が握られていた。

「そう云えば、さっき犬と戯れてから食べてましたね…」
『…貴方、犬苦手だったんじゃ。てか、馬鹿じゃないの』
「敦君、此処は任せた。私と茉莉は少し抜けるよ」

と云って私の手を掴んだ太宰は、そのまま駅のホームを離れて行く。
『貴方の下の介護とかしたく無いんですけどッ⁈(怒
敦君、ナオミちゃん達が着く頃には絶対戻るからお願いね!』


そう言い残されて、敦は一人駅のホームに取り残される。

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