• テキストサイズ

もう一人の女医 【文豪ストレイドッグス】

第13章 三社鼎立



漸く治療が終わったのか、運ばれた三人とも自分の机の上へと伏していた。肉体的には完治したが、逆に精神面が重傷になったみたいだ。

「全く不甲斐無いねェ、妾の能力がなきゃ今頃揃って土の下だよ」

社長もフロアに現れ、伏していた国木田が勢い良く起き上がり外していた眼鏡を掛け直す。

「社長、申し訳ありません。俺が居ながら」
「佳い、少し出る」
と、社長は一言置いて探偵社を後にした。


「ハァ、ありゃ相当鶏冠に来てるね」


****

一方、ポートマフィア本部・首領執務室。
マフィアの首領には似つかわしくない、甘い香りが室内中に広がる。
備え付けられた机一面には色取り取りの洋生菓子に果物が並び、それらを一人で食べ続ける金髪碧眼の少女・エリス。

その後ろでソワソワしながら話し掛ける中年男性・森鴎外。彼こそが凶悪なマフィア達を束ねる首領だ、がなんとも情けない腑抜けた様な表情だ。

「ねぇエリスちゃん、食べ過ぎは体に宜しくないょ」
「…なんで?甘いは正義」
「そうだけど、でも……」

「前リンタロウが購って来たフリル付きのドレス、着てあげてもいい」
「お代わり要る?」

等と、幼い幼女の尻に敷かれる中年男性の上司の姿を目撃しながら、中原が室内へと入ってくる。

「…首領、生存兵に依ると組合襲撃後、我々より僅かに早く現場に着いた探偵社が紅葉の姐さんを連れ帰ったとの事です。恐らくら捕虜として」
「姑息な連中だねぇ…所で生存兵の多くが殆ど手当てされて居た、と報告があるが本当なのかい?」
「はい。公園に設置されて居た監視映像を確認した所、間違いなく茉莉……お嬢が敵味方問わず応急処置をされて居た姿を確認しました」

「…あの子が探偵社にねぇ」

中原が話を進める中、今後をどうしようかとただ一人で考えを頭の中で巡らせる。
探偵社に攻め入って部下である紅葉を取り返し、その隙に自分の娘も奪い返そうか。だが、敵は探偵社だけではない。

「よし!探偵社の社長を殺そう。暗殺が善いな、外部の殺し屋を使えば労力み掛からず、私達は対組合に傾注出来る」
「手配します」

/ 61ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp