第3章 或る爆弾
虎騒動の起こった翌日。
今日は日勤で朝早めに社へ出ようとしていた時だった。
探偵社の社員寮とは別に居を構えている為できるだけ早く行きたい時に電話が一本かかってきた。
表示されていた名前を見ると最早嫌な予感しかしなかった。
『…もしもし、何?』
《やぁ茉莉、朝からそんなに不機嫌でいると国木田くんみたいに眉間に皺がよるよ?》
『そんなくだらない話するためにこんな早くに電話して来たの?
もう探偵社に行くからきっていい?』
《あぁ 待って、用事ならちゃんとあるから
ー死にそうだから 助けt 『もうめんどくさいので其の儘死んでください、じゃあね』
と言って電話をきる。彼に付き合っているとろくなことがない…
初めて会った時も、彼が自殺未遂を犯し必死こいて怪我を治療した。にも関わらず回復中でも少し目を離すと、やれ首吊りだ、やれ服毒自殺だ…と、かなり手を焼いていた。
まぁ、容態だけでも診に行くとしようかな。
ーーーーーー
ブチッときられた電話相手。
助けて欲しいが、返ってきた言葉は相も変わらず辛辣な言葉。
でも、必ず容態は診に来てくれる。それは彼女の医者としての性だ。
何処か他人行儀で冷たい、でも何事にも一生懸命で何があっても見捨てない。
「ーそんな君だから、私も好きになったのだけどね」
と呟き、気を抜いていると嵌っていたドラム缶の中に徐々に落ちていく。
うむ、ただ苦しいだけだったなこの自殺法。
そしてそろそろ限界だなぁ…
と感じもう一人に救援を頼む。
「やぁ 敦くん。新しい下宿寮はどうだい?善く眠れた?」
《お蔭様で……
こんな大層な寮を紹介いただいて》
「それは好かった ところで頼みが有るのだが」
《?》
「助けて 死にそう」