第12章 たえまなく過去へ押し戻されながら 後編
翌日、朝刊や報道で騒がれた。
七階建ての建物が一夜にして消滅したのだ。又、その建物にはポートマフィアのフロント企業が入っており、構成員の事務所として使われて居たとの情報もあった。
「メッセージ、とは此れか」
「やはり寮にも賢治君は居ませんでした」
賢治の帽子を持ちながら谷崎が社内に戻ってきた。
「逆らう探偵社も用済みのマフィアも凡て消す、か」
『…やっぱり、あの時一緒について行くべきだった』
昇降機内で何かあったのは明白だ。やっぱり、強引にでも賢治君に着いていて上げてたら、と昨日から其ればかりが頭の中を巡る。
少なからず、自分にも責任はある。
「荒木の所為では無い、あまり気を落とすな。
谷崎、これ以上単独で動くな、敦と組んで賢治を探せ。太宰は俺と会議室に来い、社長会議だ」