第11章 たえまなく過去へ押し戻されながら 前編
社長室
致し方なく、高速道路にヘリを停める何とも非常識なお客人を社長室へ通す。そして、敦君に心中で謝罪する。
(実は親なんじゃ?とか云ってごめん)
組合の団長って云うものだから、もっと歳上だと勝手に思ってた、普通に三十代くらいだった。一応お客様なので、私とナオミちゃんとで渋々お茶をだす。
「会えてとても嬉しいよ、プレジデント フクナ……フクダ? 「…福沢」 それだ!所でヘリを道路に停めさせたが、まずかったかな?」
「外国の方が、遠路はるばるご苦労でしたな。して、要件は」
「俺のとこはフランシスと呼んでくれ。北米本国【組合】と云う寄合を束ねている」
「フランシス殿、貴君は懸賞金でマフィアを唆し、我らを襲撃させたとの報が有るが、誠か?」
との社長の問いに組合の団長は悪びれることも無く笑う。
「あれは過ちだったよ、まさかこの国の非合法組織があれほど役立たずとは!
謝罪に良い商談を持ってきた。此処は悪くない会社だし、街並みも美しい。この会社を買いたい」
机の上にアタッシュケースを置き中を開くと、米札の束がケースを埋めていた。だが本人は社屋にも社員にも興味は無いと云う、あるのは一つ…
「そうだ、【異能開業許可証】をよこせ」