第11章 たえまなく過去へ押し戻されながら 前編
翌朝・探偵社
結局、出勤早々に国木田さんに怒鳴られて報告書提出を命じられた。
休んでしまった(捕まってた)分の仕事も片付けながら報告書を作成する。
と云うか、休んでる間に色々な事起こり過ぎでしょ…
敦君が芥川君に捕まってて船を一艘沈めて、新入社員でマフィアの元暗殺者の女の子が入って、ギャング同士のいざこざを賢治君と敦君で解決してて…
『ねぇ谷崎君、この件って賢治君と敦君で行って大丈夫だった?』
「あぁ、はい。何とか解決したそうです。ただ国木田さんが、かなり心配していましたけど…」
『だろうね(苦笑』
なんて小話をしているといつの間にか出社していた敦君と新入社員である女の子・泉鏡花ちゃんの姿があり何やら太宰と話していた。
どうやら二人も同棲することになったそうだ。そんな敦君を上手く言いくるめて遊んでいる太宰。
「敦で遊んどる暇があったら、ポートマフィアに捕らわれた件の報告書を出せ。茉莉は既に報告書と遅れていた仕事全て片したぞ」
と国木田さんに一喝入れられる。
「流石茉莉だねぇ、私の分の報告書も書いてくれるかい?^ ^」
『嫌だよ、自分で書いて。それと、敦君。
敦君に懸賞金を懸けた人物が判ったよ』
「本当ですか⁉︎」
「マフィアの通信記録に依ると、出資者は【組合】と呼ばれる北米異能者集団の団長だ」
組合の構成員は財政界や軍閥の要職を担う一方で、裏では膨大な資金力と異能力で数多の謀を底巧む秘密結社。
『三文小説の悪玉みたいだね』
「そんな連中が何故敦を?」
「おっしゃるとおりで…」
『敦君が孤児院にいた時に会ったことがある、とか?』
「んー……全く記憶に無いですね ー ー;」
『実は敦君の親だったり?』
「僕生粋の日本人ですよッ⁉︎」
なんて可愛い後輩で遊んでいると、何やら外が騒がしくなる。
窓から外を見ると高速道路にヘリが一機着陸し、中から端正な顔立ちの金髪男性
組合・団長
フランシス・F
ーー能力名「華麗なるフィッツジェラルド」
を筆頭に、男がもう一人と、
ゆるく結った赤毛の三つ編みの少女
組合・従弟
ルーシー・M
ーー能力名「深淵の赤毛のアン」
を従えてヘリから降りて来た。
「先手を取られたね」